代表の想い

 この仕事が好き。ずっと続けたい。

 

──けれど、不安や葛藤、迷いのなかで、夢をあきらめてしまう人がいる。 

 

── 誰かがあきらめた夢が、未来の命を救えたかもしれないから。

 

「人も動物も笑顔でいられる獣医療の未来を、本気でつくりにいきたい。」

 

この想いを胸に、私は27歳の頃、動物看護師のための相談窓口を立ち上げ、これまで動物看護師として働きながら、多くの仲間の声を聞き、悩みに寄り添うことを続けてきました。

この想いが芽生えたのは、それよりさらに遡ること数年前—

 

かつて私は、動物看護師として、自分の未来に迷い、不安を抱えていました。 


「将来の夢は動物看護師。チョコ(愛犬)が歳を取ったときに私が支えてあげたい!」

 

この道を目指したのは小学3年生の頃。

愛犬との出会いが、私の夢の始まりでした。

 

チョコは、時に喧嘩の仲裁に入ったり、時に側にいて悩みを聞いてくれたり。泣いていると駆け寄ってきて慰めてくれたり。一緒に笑ったり。

そんなチョコとの毎日が、この先1日でも長く、楽しく、穏やかに過ごせたら…と、私は動物看護師の道を選びました。


それから12年後。私は夢を叶え、動物看護師になりました。 

 

当時の職場は院長もスタッフも皆優しく、穏やかで、とても居心地の良い環境でした。

 

1.5次診療施設で、眼科と整形外科の得意な動物病院ということもあり、動物看護師としての基礎から、特殊な症例まで様々な分野に携わり経験を積むことが出来ました。 


それから5年間、目の前の仕事に向き合い続けてきた私でしたが、25歳を過ぎた頃、未来に対する不安が押し寄せてきます。

 

「先が見えない。獣医師たちはそれぞれ専門分野を極めていくのに、動物看護師の専門性とは何なのか?」 

 

私は動物看護師としてのキャリアに限界を感じはじめていました。

 

動物の保定や検査も、動物看護師以外の人が行うことがある。

 

「それなら、動物看護師の役割って一体何なんだろう?」

 

私は動物看護師としてのキャリアや将来に希望や自信を持てず、

 

「この仕事を長く続けていけるのだろうか……」と。日々不安を抱えながら過ごしていました。

 

そんなある時、思いがけず動物看護師長に任命されます。

 

未来のキャリアが見えていなかった私にとって、青天の霹靂でした。

「私に務まるのだろうか」と不安でいっぱいでしたが、 選ばれたからには意味があるはず。

 

「任された仕事をやり遂げたい」という想いが次第に強くなり、引き受けることを決めました。  


周囲の仲間の助けやアドバイスを得ながら、少しずつ前に進み、気がつけば、これまで以上に仕事が楽しくなっていました。 

 

と同時に、これまでとは異なる立場で仲間と接するリーダーという経験が、後に<動物のために働く人たちのケアの必要性>を感じるきっかけとなります。

 

「かつて私が将来に不安を感じたように、他にも仕事や将来に不安や葛藤を抱えている動物看護師さんがいるかもしれない。私がその方々の支えになってあげたい。」

 

その想いからキャリアに悩む動物看護師が気軽に相談できる場所をつくることを決意。

 

2017年。動物看護師のための相談窓口を立ち上げ、個人での活動をスタートさせました。

 

 

 


 相談窓口を開始してしばらくすると、全国から毎週のように相談が届きました。

また、様々な動物業界のイベントに参加し、

講演や交流会を通して多くの動物業界の方々との人脈が生まれました。

 

沢山の方とお話をしていく中で、特に私の心を大きく揺さぶったのは動物看護師の離職率の高さ。

多くの動物病院が、離職や人手不足、人材確保に悩んでいることを知りました。

 

そして、離職の理由も決して動物看護の仕事が嫌になった人ばかりではないということ。

 

対人関係、ライフイベント、待遇面、キャリアの限界。

 

<この仕事が好き…だけど、続けていくことを諦めてしまう>

 

そんな方々が多いことを知りました。

 

私は、自分が動物看護師であることに誇りを持っていました。

 

「この仕事が好き。動物のために働き続けたい。」

 

きっと、これまで離職していった人たちも、同じような気持ちを持っていたのではないか。

もし、業界から離れずに続けていく選択肢があったら?

 

もし、誰かに早いうちから相談できていたら?

 

もし、この業界に残っていたならば・・・

 

その先にはきっと、動物とそのご家族の支えに繋がったり、1つでも多くの救える命があったかもしれない。

 

これから先も、この業界の多くの仲間が夢を諦めてしまうのなら、業界の未来はどうなるのか——?

より多くの人を支えるために、キャリアコンサルタントの国家資格を取得し、活動を拡げていくことを決意しました。 

 


「1人の1歩より、10人の1歩」

高校時代の恩師が教えてくれた言葉です。

 

私は、これまでの経験を通して、一人の力ではできることに限界があること。 

横のつながりをつくり、仲間と協力し合うことの大切さを知っていました。 

 

「一人ではなく、仲間とともに未来をつくりたい」

 

そして2025年春。

動物医療の現場で働きながらキャリアコンサルタント資格を持つ2名の獣医師と共に、本研究会を立ち上げました。 

動物看護師は国家資格化し、獣医業界は新たなスタートをきっています。

 

「資格があるから安心」ではなく、

「資格にふさわしい自分になるために、どう生きていくか」が問われる時代へ。

 

私たち獣医療従事者1人1人が業界の課題を自分事にし、より主体的にキャリアを切り拓くこと。

自らの価値を高め続けていくことが大切なのだと思います。

 

「動物が好き」という気持ちを、実現できる業界に向けて。

 

そのためには<組織と個人の調和>が重要な鍵を握っています。

 

一歩ずつ、でも確実に。

共に、愛玩動物看護師のキャリアを切り拓いていきましょう!